小物
- HOME
- 小物
帯や着物のリユース
帯や着物は大変高価で貴重なものが多く、何代にも渡り受け継がれているものもあります。しかし残念なことにその多くはタンスの中で眠っているものが多く、時には処分されることも少なくありません。貴重な品を違った形で利用するのは環境問題の上でも大きな取り組みです。
韓国に昔から伝わる縫製技術(ヌビ)を用いて作成しています。“この質感”は一度手にしていただけたらきっとその良さが伝わると自信があります。2つの国の貴重な財産を後世に残していきたいと思います。
「ヌビ」とは
韓国キルトといわれる縫製技術です。幅5㎜程で一気に直線で縫い上げられており、韓国国内でも高級品ですがその技術を受け継ぐ方が減少しております。
表地・芯地・裏地と三層構造ですが、耐久性が高いにも関わらず軽い質感が高いのが特徴です。
ヌビの歴史
ヌビの起源には、モンゴルが発祥とされモンゴルで始まったキルティング技術が東西に伝わる過程でそれぞれ異なる形に発展したとされます。西へ伝わった技術はヨーロッパで「キルト」となり、特にイギリスやフランスで広く普及しました。一方で東へ伝わった技術が韓国に渡りそこで「ヌビ」という独自のキルティング文化として発展したのです。
韓国でヌビは、寒冷な気候に適応するための保温技術として広まりました。布を重ねて縫い付けることで空気の層ができて保温効果が生まれるヌビは、衣類や寝具さらには軍服などさまざまな用途で利用されました。特に韓国の中部から南部にかけての山間部、慶尚道(キョウサンド)や全羅道(チャルラド)などで盛んに作られ地域ごとに異なるデザインや技法が発展しました。
また、朝鮮王朝時代にはヌビ技術が広く普及し庶民の防寒具や寝具としてだけでなく、貴族の衣装にも取り入れられました。ヌビ独特の美しいステッチ模様は布を固定するためだけではなく装飾としても機能し、幾何学模様や植物のモチーフが多く施されました。
20世紀に入ると工業化の影響でヌビは一時衰退しましたが伝統工芸として再評価されて、現在では現代的なデザインやファッションにも取り入れられています。このようにモンゴル発祥のキルティング技術が韓国で「ヌビ」として独自に発展し、機能性と美しさを兼ね備えた韓国の伝統工芸となりました。
きっかけ
「SDGs(持続可能な開発目標)」の理念に沿い、日本の伝統技術と韓国の伝統技術を融合させた新しい取り組みとして着物を活用したカバンや小物が誕生しました。古くから受け継がれてきた日本の着物の生地が、時代の変化とともに使用されなくなり破棄されてしまうことが増えています。しかし、この素材を再利用することで持続可能な未来に貢献しようという想いから、韓国の伝統技術である「ヌビ(キルティング技術)」を組み合わせた商品を開発しました。
この取り組みが生まれたきっかけは、狭山市の国際交流活動でした。その交流の際に韓国の技術に触れる機会がありお土産としていただいたものがインスピレーションとなり日本の着物と韓国のヌビの技術の融合というアイデアが生まれました。ヌビの司法で仕上げられたカバンや小物には伝統を活かしながらも現代的な実用性があり、リサイクル素材の活用によって環境への負荷も抑えています。
このように、日本と韓国の伝統が組み合わさり古くからの技術や素材が捨てられることなく新たな価値を生み出すプロジェクトはSDGsの目標である「つくる責任、つかう責任」にも貢献しており、文化の継承と環境保全の両方を目指したり取り組みとして注目されています。